
今村翔吾著『イクサガミ』を読ませていただいた感想および読書記録です。
今村翔吾著『イクサガミ』は、脳汁が止まらない!時代小説というジャンルを超えた超ド級のバトル・エンタメ。「読書体験」そのものをアップデートしてくれる一冊です。『イクサガミ』シリーズは、すべてオーディブル聴き放題対象作品です。
作品情報と読書記録
著者:今村翔吾
今村翔吾さんは1980年、京都府生まれ。作家としてデビューする前は、ダンスインストラクター、本屋、埋蔵文化財調査員など、様々な職を経験されています。
2017年に『火喰い鳥 羽州ぼろ鳶組』で時代小説家として本格デビュー。2022年『塞王の楯』で第166回直木三十五賞を受賞。
他の著書に『童の神』『八本目の槍』『じんかん』「くらまし屋稼業」シリーズなど多数。
作品情報
『イクサガミ』シリーズは「天」「地」「人」「神」の順番です。
イクサガミ 天
文庫
2022年2月15日、講談社文庫から発売。
電子書籍
2022年2月15日発売、各電子書籍サービスから購入可能。
オーディオブック
オーディブル版は2022年8月19日から配信、audiobook.jp版は2023年5月31日から配信されています。
| 配信サイト | オーディブル | audiobook.jp |
|---|---|---|
| 制作 | Audible Studio | オトバンク |
| ナレーター | 山口 恵 | 佐東充 |
| 再生時間 | 8時間26分 | 9時間15分53秒 |
| 配信日 | 2022/8/19 | 2023/5/31 |
| 聴き放題 | 対象 | 対象 |
| 単品価格 | 2,100円 | 1,320円 |
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イクサガミ 地
文庫
2023年5月16日、講談社文庫から発売。
電子書籍
2023年5月16日発売、各電子書籍サービスから購入可能。
オーディオブック
2023年9月15日から配信。2025年12月現在、オーディブルからのみ配信されています。
| 配信サイト | オーディブル |
|---|---|
| 制作 | Audible Studio |
| ナレーター | 山口 恵 |
| 再生時間 | 8時間26分 |
| 配信日 | 2023/9/15 |
| 聴き放題 | 対象 |
| 単品価格 | 2,450円 |
イクサガミ 人
文庫
2024年11月15日、講談社文庫から発売。
電子書籍
2024年11月15日、各電子書籍サービスから購入可能。
オーディオブック
2025年5月23日から配信。2025年12月現在、オーディブルからのみ配信されています。
| 配信サイト | オーディブル |
|---|---|
| 制作 | Audible Studio |
| ナレーター | 山口 恵 |
| 再生時間 | 12時間2分 |
| 配信日 | 2025/5/23 |
| 聴き放題 | 対象 |
| 単品価格 | 2,450円 |
イクサガミ 神
文庫
2025年8月8日、講談社文庫から発売。
電子書籍
2025年8月8日発売、各電子書籍サービスから購入可能。
オーディオブック
2025年10月31日から配信。2025年12月現在、オーディブルからのみ配信されています。
| 配信サイト | オーディブル |
|---|---|
| 制作 | Audible Studio |
| ナレーター | 山口 恵 |
| 再生時間 | 11時間20分 |
| 配信日 | 2025/10/31 |
| 聴き放題 | 対象 |
| 単品価格 | 2,450円 |
Netflix
『イクサガミ』はNetflixにて映像化、岡田准一主演・プロデュースで世界独占配信中です!
読書記録
わたしは2025年11月にオーディブルの聴き放題で聴きました。Netflixも視聴しています。
『イクサガミ』のあらすじ(ネタバレあり)
イクサガミとは?
そもそも『イクサガミ』とは、一言で言えば、「明治時代のデスゲーム」です。
舞台は明治11年。京都・天龍寺に集められたのは、腕に覚えのある292人の猛者たち。 彼らに告げられたルールは単純明快かつ残酷。
- 7つの関所を突破し、東京を目指せ
- 参加者に配られた「木札(点数)」を奪い合え
- 手段は問わない。殺し合いもOK
これを「蠱毒(コドク)」と呼びます。 まさにバトルロワイヤルです。
彼らは7つの関所を突破し、東京にある「黄金の金庫」を目指すこと。参加者たちは命がけで互いの「木札(点数)」を奪い合うことになります。
物語の展開
主人公の嵯峨 愁二郎(さが しゅうじろう)は、かつて最強と謳われた剣術「京八流」の継承者でありながら、争いを嫌い、その座を拒んでいました。
しかし、彼が愛する妻と娘がコレラに罹ってしまいます。 高額な薬代を稼ぐ手段はただ一つ。この命懸けの「蠱毒」に参加し、優勝賞金「100億円(現在の価値で換算)」を手にすること。愁二郎は、大切なものを守るため、再び小太刀を手に、死の行軍へと足を踏み入れます。
開始直後から始まる殺し合い。愁二郎はその道中で、母の治療費のために参加した少女・双葉(ふたば)と出会います。戦う術を持たない彼女を守るため、愁二郎は二人三脚で京都を進みます。
行く手には、他流派の強豪たちだけでなく、かつての京八流の義兄弟たちも立ちはだかります。彼らは皆、独自の特殊な「奥義」を持ち、愁二郎を狙ってきます。 さらに、ルール無用の暗殺者・岡部幻刀斎の影も迫り、一瞬たりとも気が抜けません。
第一の関所である大阪を目指す愁二郎はこれまでにない、二重の試練に直面する。これまで共に旅を続けてきた少女・双葉を、まさかの人物に奪われてしまします。それは、愁二郎を恨み、追っていた京八流の義兄弟の一人。家族のように育ったはずの兄弟が、莫大な賞金と流派の因縁のために愁二郎の前に立ちはだかり、最も守るべき存在である双葉を人質に取ります。愁二郎は、東京を目指す「蠱毒」のルールと、血を分けた兄弟との「宿命」という、二つの戦いに引き裂かれます。
さらに双葉を奪い返そうとする愁二郎の前に立ちはだかったのは、最強の「戦闘狂」貫地谷 無骨でした。その時、一人の誇り高き剣士が、愁二郎の逃走を助けるために、無骨と一騎打ちを敢行します。「正々堂々」を信条とするその剣士は、命を懸けて愁二郎の道を切り開きますが、結果はあまりにも悲壮なものに。この大阪での壮絶な「別れ」と「死闘」は、第1巻「天」のクライマックスです。
- 嵯峨 愁二郎(さが しゅうじろう):伝説の剣術「京八流」の使い手。8人の義兄弟の中で最も才能がありながら、兄弟殺しを嫌って逃げ出した過去を持ちます。 一撃必殺の「小太刀」使いとしての技巧描写が凄まじく、コレラに罹った妻子を救うため、再び剣を握ります。
- 香月 双葉(かつき ふたば):母を救うために参加した12歳の少女。戦闘能力は低い。
- 柘植 響陣(つげ きょうじん):関西弁を話す陽気な男ですが、頭の回転が異常に速い「策士」です。 正面からの戦闘よりも、心理戦や罠で格上の敵を出し抜くスタイル。
- 貫地谷 無骨(かんじや ぶこつ):「強い奴と戦いたい」という理由だけで参加しているバーサーカー。 細かい剣術よりも、圧倒的なフィジカルとスタミナで敵を叩き潰します。愁二郎とは正反対の「剛」の剣士。
- 菊臣 右京(きくおみ うきょう):美しく礼儀正しい剣士。元は公家に仕えていた名門の出。 「武士の誇り」を何よりも大切にしており、卑怯な振る舞いを嫌います。
- 岡部 幻刀斎(おかべ げんとうさい):「蠱毒」の参加者ではなく、ルールを破った京八流の兄弟たちを抹殺するために雇われた暗殺者。
- 衣笠 彩八(きぬがさ いろは):京八流の唯一の女性剣士。分身のような動きで惑わす奥義「文曲(ぶんきょく)」の使い手。
- 化野 四蔵(あだしの しぞう): 京八流の巨漢。怪力で敵の武器ごと粉砕する奥義「破軍(はぐん)」の使い手。
- 祇園 三助(ぎおん さんすけ): 聴覚が異常に発達しており、気配を消す奥義「禄存(ろくそん)」の使い手。
『イクサガミ』の感想
時代小説と聞いて、「難しそう」「歴史の知識がいる」と思って敬遠していませんか?
もしそうなら、その概念は今日で終わりです!今回ご紹介する小説『イクサガミ』は、時代小説の枠を突き破った、超ド級のバトル・エンタメです!歴史を知らなくても、熱い物語と凄まじい戦闘が好きな人なら、絶対にハマります!
脳内がフル回転する「超高速バトル描写」
本作の最大の特徴は、戦闘シーンの描写力です。主人公・嵯峨愁二郎の小太刀の動きは、まるでハイスピードカメラで捉えたかのように一瞬で読者に伝わります。
読んでいて、息苦しくなるほどの緊張感と興奮で、まさに「脳汁」がドバドバ出るような感覚!これは、脳内で繰り広げられる「格闘技」のような読み応えです。一秒たりとも飽きさせない、超高速バトルエンタメの真骨頂です。
「哀しみ」が強さを際立たせる重厚な人間ドラマ
この物語は単なる殺し合いではありません。最強の剣術「京八流」の継承者である愁二郎は、ある悲しい理由と重い過去を背負い、やむなく命懸けのデスゲームに身を投じます。
彼の孤独や、道中で出会う謎の少女・双葉との交流が、血生臭い戦闘の合間に**深く心に響く「人間ドラマ」を与えてくれます。主要な登場人物の「生き様と死に様」**に、読み終えた後も強い余韻が残ります。
歴史の裏側にある巨大な「陰謀」の謎
物語の背景には、明治政府が武士階級を根絶やしにするため仕掛けた「蠱毒(コドク)」という巨大な陰謀があります。
なぜ、このデスゲームが必要だったのか?主催者の目的は? 単なる剣客同士の戦いだけでなく、ミステリーやサスペンスの要素も多分に含まれており、「誰が、何のために」という謎を追いかける知的興奮も味わえます。物語が進むごとに、国家レベルの巨大な闇が見えてくる構成に震えます!
まとめ
今村翔吾著『イクサガミ』は、脳汁が止まらない!時代小説というジャンルを超えた超ド級のバトル・エンタメ。「読書体験」そのものをアップデートしてくれる一冊です。
『イクサガミ』シリーズは、すべてオーディブル聴き放題対象作品です。


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