
アンディ・ウィアーさん著『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読ませていただいた感想および読書記録です。
※『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を最も楽しめる方法は、この記事を読まずに余計な情報を一切入れずに、今すぐ読むまたは聴くことです。オーディブルなら無料で聴けます!映画化前にぜひ。
※はじめての Audible なら 30日間の無料体験 を利用できます!
登録は4ステップですが、失敗すると無料にならなかったり登録できません!失敗したくない方はこちら。
書籍情報と読書記録
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の書籍は、2021年12月16日に早川書房から単行本が2,310円(税込)で発売されました。電子書籍もあります。オーディオブックは上巻は2023年5月26日、下巻は2023年6月30日からAudibleにて配信されています。
わたしは2023年7月ごろオーディブルにて聴了。その後電子書籍を購入し再読しました。
著者紹介:アンディ・ウィアーさん
1972年6月16日生まれ。米カリフォルニア州出身。日本のアニメをはじめとする日本製エンタメ好きを公言している。
幼い頃からSFファンであった。15歳の頃からサンディア国立研究所にてプログラマーとして働き始める。その後カリフォルニア大学サンディエゴ校にてコンピュータ・サイエンスを学び、多くのソフトウェア会社で働く。2009年から自身のウェブサイトで『火星の人』を連載していたが、読者からまとめて読みたいとの要望を受け2011年にkindleで出版。最低価格の99セントで売りだしたが、発売3ヶ月で3万5000ダウンロードを記録し、SF部門の売上げトップ5に躍り出た。その後『オデッセイ』(原題は小説と同じ 『The Martian』)として映画化された。(Wikipedia より)
また『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、2021年アメリカで刊行されるとすぐにベストセラーになり、現在ライアン・ゴズリング主演で映画化が進行している(2026年日本公開予定)。予告はこちら。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のあらすじ(ネタバレあり)
病室のような部屋で目を覚ました主人公ライランド・グレースは、記憶を喪失していた。自分が誰で、なぜここにいるのかも思い出せない。少しずつ記憶を取り戻す中で、ここが宇宙船の中であることに気づく。
実はライランド・グレースは、人類最後の望みとして打ち上げられた宇宙船「ヘイル・メアリー号」の唯一生き残った船員だった。彼の使命は、太陽系外に飛びアストロファージを解明・解決する手掛かりを探し出すこと。広大な宇宙で彼が出会ったのは、地球外の存在、同じく絶滅の危機に瀕する異星文明の生き残りだった。
人類と地球外生命体、それぞれの存亡を賭けた者同士のコンタクトは破滅に導かれるのか、それとも命をつなぐことにつながるのか?グレースと異星人は不可能に立ち向かう。
※「ヘイル・メアリー」とはアメリカンフットボールの試合で、試合終了間際に逆転を狙って投げられるロングパスを指す。イチかバチかの神頼み、最後の賭けを表す。「プロジェクト・ヘイル・メアリー」とは、人類の最後の希望をのせたイチかバチかの起死回生プロジェクトです。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の感想(ネタバレあり)
圧倒的な面白さ!
病室のような部屋で目を覚ました主人公は、自分の名前すら覚えていない状態です。自分が誰で、なぜここにいるのかも思い出せない。自分の隣には2人の死体があります。コンピュータは嫌がらせのように計算問題を出してきます。
この状態は一体どういうことなの?
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読み始め、わたしは一瞬で物語に引き込まれました。やがて主人公は少しずつ自分のこと、自分が置かれている状況、地球のこと、なぜここにいるのか、ここがどこなのかを思い出していきます。わたしはもう、読むのをやめられなくなりました。(実際には初回はオーディブルで聴いていたので、聴くのをやめられなくなりました。)ごはんを食べるときも、移動中も、買い物中も、トイレで用を足すときですら、オーディブルを聴くのを止められず、寝る間も惜しんで、一気に聴き進めずにはいられませんでした。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』はそれぐらい面白いです。もちろん、ハマる人とハマらない人はいるでしょうが、面白い小説を求めている人ならほぼ間違いなくハマると思います。
また、SF用語や科学的なカタカナ用語も多いため、このあたりで拒絶反応を起こす方も少なくないかもしれません。しかしストーリー自体はわかりやすいので、なんとなくの理解で話の大筋は理解し読み勧めてください。
この圧倒的な面白さに、読んだ人なら納得するはずです。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』はなぜおもしろいのか?
わたしはなぜこんなに『プロジェクト・ヘイル・メアリー』にハマったのか?面白さの理由を分析してみました。
- 冒頭の状況からの謎解き要素の面白さ
- 現在(宇宙船の中での出来事)と過去(プロジェクトに参加するまでの経緯)を対比させながら同時進行していくかのように進んでいく面白さ
- 絶対絶命の状況にあらゆる経験や知識を武器に勇気を持って立ち向かっていく面白さ
- 人類と異星人のファーストコンタクトものでありバディものでもあるという2重の面白さ
- 落ち着いた聴き心地よい声での臨場感あふれるオーディブルの朗読
中でも力説したいのは、「人類と異星人のファーストコンタクトものでありバディものでもあるという2重の面白さ」という点です。
人類と異星人のファーストコンタクトものでありバディものでもあるという2重の面白さ
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』以外でわたしが最近読んだファーストコンタクトものSF小説といえば、『三体』です。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』と『三体』では、異星人とのファーストコンタクトに対するスタンスが大きく異なると言えます。『三体』では、わたしたちはなぜ宇宙人に出会えないのか?宇宙人はなぜ地球にやってこないのかを「暗黒森林理論」によって説明しています。この広い宇宙のどこかに高度に発達した文明を持つ宇宙人は存在してはずだが、その存在を他の文明にさとられないように身を隠しているからわたしたちは宇宙人に出会えないという理論です。宇宙の資源とは有限です。宇宙とはその限られた資源の取り合いです。もし相手に自分たちの存在を知られてしまえば、自分たちが奪われる前に星を破壊されるという考えなのです。だから宇宙では自分たちの存在が知られないようにひっそりと息をひそめて生きるべきなのです。
しかし『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ではこのような考え方は一切出てきません。地球人であるグレースと異星人ロッキーとのファーストコンタクトは平和的で友好的で感動的です。2つの文明を背負った二人は、お互いを気遣い、協力して助け合いながら共通の問題を解決していきます。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は人類と異星人との間に芽生えた友情の物語でもあるのです。まさにバディもの小説とも言えます。
この2つの文明の出会いは幸運だったという見方もできるかもしれません。それはアストロファージをなんとかしなければならないという共通の問題を抱えていたという点です。もしもこの共通点が少しでもズレていたら、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』でのファーストコンタクトはこのように平和的で友好的で感動的にはならなかったのかもしれませんが・・・お互いの共通の問題をみつけ、お互いが協力できる関係になることが非常に重要と思われます。
異星人に限らず、人と人、国と国の関係でも同じことが言えるのだと思います。共通の課題をで協力していけば友好関係を築けるはずです。考え方が違う部分をフォーカスして相手を否定するのは愚かな行為と言えるでしょう。
すべての地球人におすすめ!
これから地球外生命体とのファーストコンタクトを経験するかもしれないすべての地球人は、その初体験の前に『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を一読することをわたしはおすすめします。『三体』を読んだときは、たしかに宇宙における異星人同士のコンタクトは「暗黒森林」的になるのが真理かもしれないと、大きな衝撃を受けつつも納得しました。しかし、それでもわたしは『プロジェクト・ヘイル・メアリー』的ファーストコンタクトを切に願わずに要られません。
第44代アメリカ合衆国大統領バラク・オバマは『三体』を愛読していたそうですが、プーチン、習近平、金正恩、トランプ、ネタニヤフをはじめ世界の指導者たちは、『三体』よりも『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読むべきです。自分とは異なる外見、異なる考え、異なる文化、自分の理解を超えた相手とのコミュニケーションを『プロジェクト・ヘイル・メアリー』で学んでほしいものです。
いつか訪れるであろう人類と地球外生命体とのファーストコンタクトは『プロジェクト・ヘイル・メアリー』的であってほしいと切に願います。
まとめ
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、この星に生きているすべての地球人におすすめ!一瞬で引き込まれハラハラどきどきが止まらない圧倒的面白さです。
オーディブルなら無料で聴けます!映画化前にぜひ。
※はじめての Audible なら 30日間の無料体験 を利用できます!
登録は4ステップですが、失敗すると無料にならなかったり登録できません!失敗したくない方はこちら。
コメント